この展覧会、春に江戸東京博物館で開催されていたものの巡回なのですが、江戸東京博物館では連日3~4時間待ちの大盛況で、ちょうどその時に東博で開催されていた鳥獣戯画展と待ち時間を競い合っていまして……結局パスしたのですよ。並んで○見るほどじゃないかなと言う気がしまして。で、京都も並んでなかったら入ろうと思って向かったところ、チケット売り場には2人しか並んでなかったので入ってしまった、という次第です。
さて展示のほうですが、まず最初に、関ヶ原の合戦そのものを描いた作品が並びます。
- 関ヶ原合戦図屏風(大阪城天守閣蔵)
- 一番最初は、関ヶ原の合戦を俯瞰的に描いたこの作品から。江戸後期に描いたってことは、元になった作品があったのでしょうか。合戦の終盤、島津が中央突破をするタイミングが描かれています。家康が左端で石田が右端という構成で、両者が対立していることが構成からも見て取れるのですが、中心は井伊なので、井伊の関係者が描いたものなんでしょうか。
- 関ヶ原合戦図絵巻(東博蔵)
- 関ヶ原の場面と城攻めの場面が展示されていました。まず関ヶ原の場面では金吾中納言が遠くで日和見しているところまでちゃんと描かれていたりしまして。ほいで城攻めの方は西が攻めているので、伏見でしょうか?それとも大津?
それから、合戦が始まる前の色々駆け引きのあった時期の書状などもありまして。
書状は字が読めないので素通り気味になりますね。早く自動翻訳機が実用化されて欲しい(汗)
また、合戦の舞台を説明するような地図もありました。
- 関ヶ原合戦絵図(福岡市博物館蔵)
- 関ヶ原を中心とした地図で、大垣を中心に清州から関ヶ原までの範囲が描かれています。元々西軍は大垣城攻防戦に持ち込もうとしていたので、大垣が中心なのも納得です。ところで左上に古城山というのがありますが、これって何処なんだろ?。そういえば東海北陸道に古城山PAというのが美濃ICの先にありますが、それでしょうか?
と、ついつい絵巻や地図が出てくるとそちらに気を取られてしまいますが、展示の中心となったのは実際に合戦に参加された武将にまつわる品々でした。全体の半分がこれだったんじゃないかしら?
- 黒塗軍配団扇
- 鶴岡の酒井さんのところのもの。軍配に拡大鏡を仕込んでいるのが斬新。
- 茶糸素懸威黒塗桶側五枚胴具足・鉢巻型兜
- ねじり鉢巻きをしている兜。こんな突拍子も無い意匠も榊原さんが所蔵と聞けば納得です。
- 金扇馬標
- 家康の馬標だった巨大な金の扇。なんだか最近よく見かける気がします。
- 黒漆塗唐冠形兜
- 藤堂高虎さんの兜。大きな耳が付いているのがお茶目。
- 本多忠勝像
- とても目力を感じる絵で。それも本多忠勝さんらしいかなと。
そして最後は、関ヶ原以降の太平を築いた功績により神格化された神君家康についての展示がありました。
- 東照大権現霊夢像 寛永十八年二月十七日
- 家光が夢に見たという家康を描かせたもの。この家康、のんびりしていて好きですわ。権力者の緩い姿ってそうそう残るものでは無いですけど、これはもう、おじいちゃん子だった家光の功績としか言いようがないです。
美術品では無く歴史的な資料が多数だったこともあってあっさりとした紹介になってしまいましたが、戦国の歴史を(歴史小説でもよいので)頭に入れている人なら、文句なしに楽しめる展覧会なんじゃ無いでしょうか。
それにしても、江戸東京博物館であんなに待ち時間が長かった理由は、京都の展示を見ても判らないままでした……。本当に何で3時間〜4時間待ちなんてことになったのよ?