31日までの展示ですが、大阪の天六にある大阪くらしの今昔館で淀川に関する展覧会をやっていたので見てきました。
この展覧会、伊藤若冲、円山応挙、与謝蕪村や同時代の文人が描いた淀川に関する作品を紹介知るとともに、江戸時代の淀川の表情を他の作品も交えてみてみよう、という感じのものでした。
私はこういう交通系の展示が好きですので、喜んでみてきた次第です。
- 伏見古御城絵図
- 大工の棟梁だった中井家の文書からの展示です。伏見城は淀川自体を堀にしているので、これを攻略するのは難しそうです。また絵図には向島の屋敷も描かれていますが、ちゃんとした城割がされていて、秀吉の死後に家康がこの向島に入った後は、他の勢力はやりにくかっただろうなぁと思うわけで。
- 淀橋本観桜図
- 桜が有ると城の近くでもみなさん賑やかですな。江戸時代から淀川の堤には桜があったようで*1。ところで、お城から直接水車が生えているのが、個人的には気になります。そんな光景だったんでしょうかね。
- 庭山耕園他「淀川両岸図」
- 応挙の絵を模写したものです。見れば見るほど、応挙さんは実は気球飛ばして描いたでしょ?と言いたくなるリアルさでして、橋などの目立つ構造物を強調することなく描いているのが凄いです。
- 伊藤若冲「乗興舟」
- 乗興舟は版画なので千葉市美術館なども所蔵していますが、これは京博が所蔵するもの。千葉市美のものなどと比較して、墨の発色がとても良いのが目を引きます。
- 大岡春卜「浪花及澱川沿岸名勝絵巻」
- 大坂の天神橋、天満橋、京橋から始まって淀までが描かれている名所絵地図。こうやって見ると、石清水八幡が淀川の一大スポットなのが見て取れます。ところでこの絵でも淀城から水車が延びているのですが、城に水車はつきもの、って、そういうものなんですか?
- よと川の図
- これも、淀川に沿った名所を紹介する名所絵地図です。やはり目立つのは一番は石清水八幡、ついで山崎ですが、枚方のところにある神社も重要っぽく見えますね。この神社はどこだろう?
- 田能村小斎「浪華大川眺塑図」
- 大川が曲がりすぎてて、ほとんどUターンじゃないですか……。まぁ実際に今でも、桜ノ宮~天満橋~中之島のところはUターンとしか言えない曲がり方をしていますけど。
- 佐野龍雲「住吉図」
- 絶賛潮干狩り中な場面で楽しそう。住吉大社の辺りは遠浅な干潟だったんですね。遠くに見えている山並みは六甲だとか。
- 上陸必携大川便覧
- ハンディ版の名所絵地図。現代の道路地図のように、目的地までの距離なんかも入ってるようです。これは便利そうなので、これをもって川下りしてみたいですねぇ。
- 西山完瑛「浪花天保山図」
- 天保山の前に帆掛け船と言う構図。江戸時代の船と港のイメージそのままですが、実際にはもっと船がいたのかしら?なんてことを考えてみたり。
やはり淀川は京都と大坂という大都市を結んでいるため、その全区間が線として資料化されているのが良いですね。
江戸でも隅田川は色々と資料がありますが、あくまで両国から浅草の辺りだけが点として絵や資料になってるだけですから……。
そんな、線的な資料が残っているのは、正直うらやましいですわ。
*1:今の有名な淀川の背割堤は20世紀になってから作ったものなので、今の淀川の桜とは場所が違うはずですが