月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

美の宴@ホテルオークラ東京

毎年夏の恒例行事、ホテルオークラ東京の「秘蔵の名品 アートコレクション展」に今年も行ってきました。
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この展覧会、毎年1つのテーマを決めて、それに関連する作品を企業コレクションを中心に展示する、というものです。
で、今年のテーマは「美の宴」と題して、「奏でる」「舞い踊る」「集う」をキーワードにした作品が集まってました。

上村松園「舞仕度」(3)
「美の宴」と聞いて最初に連想する画家は誰かと言えば、やはり舞い踊る女性を数多く描いた上村松園でしょう、ということで、全60点のうち実に8点が上村松園だったのです。その中でウッドワン美術館所蔵のこの作品は、初期の松園さんに特有の顔の描き方が特徴。昭和に入ってからの絵と違って凜とした感じではなく、ちょっとあどけなさの残るかわいさがあって好きなのですよ。あと、和服の模様がなんともこだわり抜いた感じでこれも良いです。
池田蕉園「春秋図(春)」(6)
池田蕉園さんの夫婦共作の作品。蕉園さんの夢見るような少女は、遠目からでも一目でわかります。
川合玉堂「紅梅白梅」(48)
玉堂さんなのに、琳派風味の金屏風、かつ、たらしこみの枝という作品。大正から昭和初期にかけては、どの画家も一度は琳派の影響を受けるのです。
この作品、右から延びる白梅の枝が左の紅梅と絡み合うのが、アーチ形の一本の木のように見えるのが、何か深い意味がありそうです。
竹内栖鳳「アレ夕立に」(19)
高島屋の誇る至宝に、久しぶりにお目にかかりました。扇で顔を隠しているのに首筋だけで美人と判るのが良いですなぁ。
宗達派「扇面流図」(12)
金の波の中に扇と色紙が貼ってある華やかな屏風。貼ってある色紙は源氏よねぇ(葵の千尋の場面と、若紫の雀の子を犬君が逃がしつるの場面は分かった)。
アンリ・マティス「ジャス」(21)
そのいかにも琳派な扇面流図と向き合ってるのが、マティスですよ。こういう凄い組み合わせが登場するのが、この展覧会の醍醐味です。
小磯良平「集い」(57)
小磯良平さんは、白いブラウスの光沢がなんとも素晴らしくてねぇ。そしてこの作品を見るたびに、男が邪魔だと思うのです。
土田麦僊「夜桜」(55)
この桜は、円山公園の夜桜ですな。支えている添え木のかたちで判ります。
下村観山「嵐山・加茂川」(47)
もやの中で咲いている桜が幻想的な色合いで、好きだなぁ。
竹内栖鳳「蹴合」(42)
竹内さんの描く、闘鶏の図。何度も見たことがあるなぁと思いましたが、大倉集古館の所蔵品なのでした。この絵は鶏の戦い方が激しくて、まるで首が取れてしまいそうな勢いがあります。
酒井抱一「四季花鳥図屏風」
ここで抱一さん登場です。この屏風も抱一さんらしく、丹念で、綺麗で、線が細くて、華やかさとデザイン性の競艶という感じです。特にね、鷺さんの首の曲線なんて完璧なU字型で、でも不自然じゃないんだよなぁ。
杉山寧「双鶴」
鶴の羽が、まるで繭張ったかのような白の質感で。


今回はテーマ自体が幅広く解釈できるものだったこともあってか、幅広いタイプの作品が集まっていた気がします。
あと、「秘蔵の名品 アートコレクション展」というだけあって、お久しぶりという感じの作品が多くて、なんか絵の同窓会に紛れ込んだような感じでしたね。

という感じで今年も楽しみました。来年は一体どんなテーマでやってくるのか、今から楽しみですわ(って、気が早い)。