「三菱が夢見た美術館」展、最初に行ったのは開幕4日後の8月28日でしたが、なかなか書く機会が無いうちに会期が終わってしまいました。そろそろ書いておかないと内容を忘れてしまいそうなので(いや、もう忘れかけている気が)、このあたりで書いておくことにします。
なお、8が28日に前期を、10月30日に後期を見たのですが、以下ではそれを区別せずに書いてしまいますので悪しからず。
この展覧会は,三井グループが持つ美術品を集めてみようという、言ってみればそれだけの展覧会ですが、財閥としての期間も金額も大きい三菱のこと、単純に集めただけでももの凄いことになっています。決して狭いわけではない(Bunkamura ザ・ミュージアムと同じくらいの広さと言われる)三菱一号館美術館で、ほぼすべての作品を前期と後期で展示替えする規模ですから、一度に展示しようとすると東博でもつらいかも……。そんな展覧会を各章ごとに気に入った作品をメインに振り返ってみます。
第1章 三菱のコレクション:日本近代美術
まずは、三菱のコレクションのうち、三菱が直接庇護をした近代日本画家の作品を。ここは黒田清輝や岸田劉生、梅原龍三郎といったメンバーが並んでいます。
ここの一番の呼び物は岸田劉生の「童女像(麗子花持てる)」。あの麗子ちゃんが洋服です。このお洋服のデザイン、赤のチェックが結構良いと思います。
あと、黒田清輝の作品は、彼が最初は印象派を意識していたのを示すものが多いです。印象派と言っても、日本的な淡さを兼ね備えているところが特徴と思います。
第2章 岩崎家と文化:静嘉堂
ここでは、静嘉堂の持つ日本美術(日本画と工芸、書籍)を紹介しています。
このコーナーは前期が非常に楽しくて、国宝の「曜変天目」と橋本雅邦の「竜虎図屏風」が同居していて一寸カオス。それにしても、橋本雅邦の「竜虎図屏風」の感想として、「雅邦かがおー」とだけ書いてある私のノートは何なんだ。
「曜変天目」は、その引き込まれるような内側の青さに打たれました。初めて茶器を見て、良いと思った気がします。
んで後期には橋本雅邦が置いてあった場所に「四条河原遊楽図屏風」。京の町は大賑わいという感じで、こういうのも楽しくて良いです。
第3章 岩崎家と文化:東洋文庫
ここは、東洋文庫に所蔵されている中国や日本の古文書が展示されています。
古文書は余り興味がないのですが、こっそり楽しいのが地図コーナー。アルファベットで旧国名が書いてある日本地図とか、丹念に見ると発見が多いです。心持ち、ほかのコーナーよりも立ち止まっている人が多い気もします。
第4章 人の中へ街の中へ:日本郵船と麒麟麦酒のデザイン
ここはタイトルの通りで、三菱グループの日本郵船と麒麟麦酒の宣伝用ポスターが展示されています。ポスターは余り関心がないので、ふーんという感じで眺めて次に参ります。
第5章 三菱のコレクション:西洋近代美術
んで最後は、西洋絵画のコレクション。どうも三菱は静嘉堂と東洋文庫のイメージがありますので西洋絵画のコレクションがあること自体が驚きですが、旧岩崎邸に飾る絵画として、西洋絵画も必要だったんでしょうね、きっと。
この部屋にあったのは最後の隠し球、ルノワール。前期は「麦藁帽子の若い娘」。後期は「長い髪をした若い娘」。どちらも可愛いお嬢さんが描かれています。また、どちらも個人蔵なので、今までに見たことの無いルノ。先日のルノワール展にも来ていない作品です。あまりのかわいさに作品の周りをうろうろうろうろ……(変質者?)。ルノワールの描くお嬢さんには時々萌えが入ってしまうのは本当に困ったもんです。
ルノワール以外では、モネの作品も良かったです。あと、後期にはシャガールがありました。1979年の作品。最近も作品を集めているんですね。
と、東洋から西洋まで、古代から現代まで、多彩な作品で楽しむことが出来ました。今後もこれらの作品を、一部分ずつに分けてでよいので、この明治の香りのする美術館で展示して欲しいもんです。