現在千葉市美術館で開催されている「酒井抱一と江戸琳派の全貌」展、気づいたらもう明日が最終日です。
この展覧会、姫路→千葉→京都と巡回しますが、京都での会場は細見美術館。どう頑張っても70展ほどしか展示できない小さな美術館です。全部で350点を超える展示物を大きな会場で沢山見ることが出来る機会は、明日が最後、ということになります。いや、細見美術館は良い美術館ですけど、面積だけはどうしようもありませんので。そのかわり、あの会場をどのように使って今回の展覧会を料理するのか、興味は尽きないのですが。
それはともかく、明日までしか見ることの出来ない、千葉市美術館の酒井抱一展。明日まで見ることの出来る見所を簡単に紹介します。これを参考に、未だ見てない方は、是非明日行ってみましょう*1。
浮世絵だって描いている酒井抱一
酒井抱一さん、琳派に傾倒する前の若い頃は浮世絵を描いていた、ということで肉筆浮世絵が展示されています。
細見美術館が所蔵する「松風村雨図」が、装飾的な波に琳派への道を感じるような。それ以前に長髪の村雨姉妹がかわゆうございます。
抱一さんと其一さんで風神雷神図
琳派と言えばの風神雷神図。フロアが異なりますが、酒井抱一と鈴木其一のものが出てきています。宗達を真似て描いた光琳を真似て描いた抱一と、それらをモチーフにアウフヘーベンした其一。そんな琳派の系譜を思い浮かべながら見るのも一興です。そう言えば2008年の大琳派展では、宗達光琳抱一其一の風神雷神図を同じフロアに展示してましたっけ。
夏秋草図屏風は下絵と合わせて
光琳の風神雷神図屏風の裏に描かれていたという夏秋草図屏風。
今回は出光美術館が所蔵する下絵とセットで展示されいます。
はっきり言って表側の光琳風神雷神図よりも、夏秋草図屏風のほうが、わたしゃ好きなんだよね。
ちなみに、夏秋草図屏風が展示されているのと同じフロアに、抱一の風神雷神図屏風が展示されています。あの空間、素敵すぎます。
必見、三の丸尚蔵館所蔵の十二ヶ月花鳥図
酒井抱一が花鳥画で12ヶ月を表現する作品は数多くあって、プライスコレクションとか畠山美術館などで見ることが出来ましたが、この三の丸尚蔵館所蔵のものは最晩年に描いたとされる、ある意味到達点の作品。しかも、あの狭い三の丸尚蔵館*2のことですので、なかなかお目にかかることが無いというものです。せっかくの機会ですから、よく見ておきましょう。ちなみに私は6月、10月、11月が好みです。
工芸作品にも見るべきものが
下のフロアでは、絵画でない作品も展示されていました。中でも凄いのが、小袖全体に、梅を描いたもの。刺繍ではなく描いています。選択したらどうなるのか興味が尽きません、じゃなくて、洒落てますよこの小袖。ちゃんと「抱一」のサインも入っているところが、また面白いです。
描表装オンパレード
下のフロアの70%くらいは、抱一以降の江戸琳派、つまり鈴木其一さんなどのコーナーとなっています。
其一さんの作品にも見所は沢山ありますが、明日も見ることが出来る作品の中だと、描表装が注目です。
描表装、要するに掛軸の中央だけでなく、周りの表具の部分にまで絵を描いてしまうものです。描表装業界では鈴木其一、守一親子にかなう人は居ません。今回、小コーナーを作って数点が纏めて展示されていましたので、描表装を堪能することが出来ました。ちなみに細見美術館が所蔵しているものが多いのは、雅の感性に触れるものがあるのでしょうね。
ということで見所を6点、だいぶ端折って書いて6点挙げてみました。他にも見るべき作品がありますので、是非、明日までですけど見ていただけばと思います。