26日の土曜日ですが、京都の細見美術館で、コレクション展を見てきました。
今回のコレクション展はタイトルに「雪・月・花」とあって、収蔵品の中で「雪」「月」「花」に関わる作品を集めています。また、今年がいわゆる「琳派400年」*1ということもあって、細見お得意の琳派の作品を中心に構成されてました。
ここ数年、細見美術館の琳派の作品は細見美術館名品展で地方巡業をしていることが多かったので、本拠地で見られるのは久しぶりな気もします。
とりあえず、見たものの中で気に入ったものを何点か、書き出してみます。
まずは「雪」の作品から
- 伝狩野元信「雪中花鳥図屏風」
- 雪とか気にせずに飛んでいる鳥がどれも気品があって。特に白鷺はその白さもあって気高さを感じます。
- 酒井抱一「雪中檜小禽図」
- たらしこみの幹、外隈で白を引き立て、粉雪は胡粉を蒔いて立体的と、それぞれの技巧が目にとまる作品。ですが、鳥さんの目が可愛いのがこの作品の一番の良さじゃないかと。
- 伊藤若冲「雪中雄鶏図」
- 細見美術館の代表的な収蔵品の一つですが、この作品を細見美術館で見るのは久しぶりな気がします(細見美術館の名宝の巡回展が多かったからね)。鶏の羽の質感にやはり目が行きますが、溶けた雪見大福のような雪も、陰影が見えて面白いです。
続けて「月」。
- 鈴木其一「武蔵野図」
- ススキの奥から大きな淡い月が。空にグラデーションがほんのりあるのが、なんか素敵です。
- 渡辺始興「簾に秋月図」
- これも細見美術館の琳派というと必ず紹介される作品の一つ。簾越しに見える部分と、簾を通さずに直接見える部分の対比が良いです。月は外隈で描かれていますが、夜のほの暗さを引き立てていますね。
- 鈴木其一「月に葛図」
- 葛の花ですが、花の端のほうのピンクと、中央の白との間で、細かく色が変わっていくのが繊細。その一方、葉っぱはたらしこみで大胆なのが面白い対比です。
そして「花」もあります。
- 酒井抱一「桜に小禽図」
- たらしこみの幹に対して、花は丁寧に描かれています。しかも、蘂が白い点(胡粉)で盛り上がってるのがアクセントですね。あと、淡い花の色に対して鳥の濃い青さが鮮やかで、目が自然と鳥に行きます。
- 鈴木守一「桜花花雛図」
- 描表装の作品。どう見ても、中央の花雛よりも表装部分の犬張り子や枝垂れ桜のほうに力が入ってる気がするのですが。
- 酒井道一「桜に白鳩図」
- たらしこみの幹の中に、白い鳩が隠れてます。幹のたらしこみが外隈になっているという手の込んだ隠れんぼです。あと、桜のほうも白、ピンク、緑、葉の茶色と色数多くて丁寧です。
一番下のフロアでは、雪月花には入らないものの紹介しておきたいという感じで、そのほかの作品がありました。そちらからも2点ほど。
- 森狙仙「猿図」
- 毛繕いしている親子のお猿さん。この人らしくリアルさも凄いのですが、輪郭線のない背中の丸さも中々のものじゃないかと。
- 鈴木其一「四季歌意図巻」
- 細長い紙に、歌に詠まれた風景を描いたもの。川の青さと描き方が、確かに其一さんだなぁと。
やはり、「ここでは久しぶり」という感じの作品が多かったですけど、細見の琳派は線が細くて上品な感じのものが多くて、やっぱり好きだなぁと。
好きなものは何度見ても良いですわ。