今日は夕方に、東京日本橋高島屋で開かれている法隆寺展を見てきました。
この展覧会、デパートで開催される展覧会らしく会期が短いのが特徴。東京での開催は3月3日から20日までの2週間ちょい。大阪も3月29日から4月16日ですから、これも2週間ちょいです。その短い会期のことを忘れてすっかり油断していまして、もうちょっとで見逃すところでした。たまたま昨日、主催の日経新聞のアカウントがtwitterで会期末近しと教えてくれたので思い出した次第で、twitterをやっていてよかったと思った瞬間です。
と、私のことは横においておいて。
展覧会の構成は大きく3部に分かれていまして、
- 第1部 太子信仰の美術
- 第2章 伝世した多彩な寺宝
- 第3章 近現代の太子信仰の美
となってました。3章で現代まで踏み込むのがデパートの展覧会らしいと感じます。なんとなく、美術館や博物館だと、近代というか戦前あたりまでは展示しても、戦後や21世紀のものは評価が定まってないとして展示の中に入れない傾向が有るように、なんとなく感じてます。いや、すべての博物館がそうだ、というわけでは無いですよ。
では以下に、その3つの章ごとに、適当に感想を書き散らしてみたいと思います。
第1部 太子信仰の美術
法隆寺といえば聖徳太子を抜きには語れないわけで、まずは聖徳太子の遺徳を称えるような作品が並びます。
と言いつつ、私にとっての聖徳太子は「日出処の天子」なので、超能力者にして嫉妬深い、恋に敗れたので政治でもするかという人なのですが……(マテ)。
まずは聖徳太子絵伝が、大きな掛け軸4枚にわたってありました。絵伝ですから聖徳太子が生まれてからの一生が描かれているのですが、結構あちらこちらに飛んでいる順不同。絵の横に貼ってある付箋に年齢が書いてあるので何とか終えるという感じでした。この絵で聖徳太子の一生を追いかけるのは大変そうです。
それから、御物の聖徳太子像。教科書にも乗っている、笏を持った聖徳太子と、その左右に二人の御子が描かれているものです。といっても、ここにあるのはその御物を江戸時代に模写したもの。とはいえ、最初に見たときは、なんで御物がデパートのちんまりした展覧会(失礼)に来てるんだ?、と驚いてしまいましたが……。
第2部 伝世した多彩な寺宝
ここは、簡単に言うと、聖徳太子以外の古い宝物、ということで、考古資料から仏像まで何でもござれでした。
仏画では、中国の元時代に描かれたという観音菩薩像が、ちょっとシャイな感じで可愛かったです。
また仏像では、円空の大日如来坐像。円空さん、法隆寺でも仏像を作ってたんですね。円空にしてはかなり手をかけて作っているように思えましたが、円空仏らしい顔の微笑がグッドです
第3部 近現代の太子信仰の美
明治時代になっても、聖徳太子に対する崇拝は続いていて、というか、天皇中心の国家の礎を気づいた人という評価で今まで以上に重要視されたのかもしれません。そんな、明治以降の聖徳太子に関する作品が集まってます。
一番の注目は、聖徳太子摂政像。平櫛田中が彫刻をした上に前田青邨が着色とか、なんですかそのビッグネーム。なんとも上品な彫刻でした。
あと、同じく前田青邨の「連雀図」は、2羽の鳥さんが丸々として、可愛かったです。
今回の展覧会、先ほどの御物以外にも、仏像や彫刻作品は昔に作られたものではなく、江戸時代や現代に模写や模造されたものが多かったです。まぁ、本物の夢違観音が東京に来ることなんて、100年に1度有るか無いかでしょうから、まぁしょうが無いです。
ただ、今年は聖徳太子1390年御遠忌、ということだそうですので、ひょっとして10年後は……。ちょっと期待したいですね。