横山大観という人は「富士と日輪を描かなければ良い画家」というのが私の評価で、戦意高揚のために描かれた富士と日輪のせいで見る気をなくしてしまう人なのです。
まぁその、富士と日輪を見なかったとしても、すごく好きというわけでもなく、所々良い作品があるものの、全体的にはちょっとねぇという評価なのですが……
そんな横山大観の展覧会が横浜美術館でありましたので行ってきました。
今回の展覧会は、大観と、その周囲にいた師匠(岡倉天心)や友人を見ていくという構成になってまして、晩年の作品は省略されてます。なので、富士と日輪の大量投下がありません、素晴らしい(をぃ)。
ちなみに、師匠や友人はこんな方々
描いたのは山口晃さんっ。最近山口晃さんの活躍が非常にめざましいので、お体には気をつけていただきたいものです。
とりあえず、手元のメモをもとに気になった作品を紹介しておきます。
- 09「井筒」
- 井戸を覗きこむ、平安っぽい少年と少女。筒井筒の世界が実に可愛らしい。こっちの方面で持った描いていたら、私の評価はもっと高かったのではないかと(こら)
- 13「菜の花歌意」
- 朦朧体をとことんまで実験してみたという感じですが、ここまで朦朧とされると確かに一般には受け入れ難いよなぁと
- 14「阿やめ(水鏡)」
- 鏑木清方を思わせる美人画がありました。この方向で美人画をやっても良かったんじゃ無いかしら?
(横山大観記念館)
- 30「観音」
- 観音様が女性といえば白隠ですが、この観音様も良い女性像になっているなと
- 29「水國之夜」
- ちょっと平面的な感じと、余白のない感じが、なんか東山魁夷あたりが描きそうなイメージです。
- 144岡倉天心「山笑録」
- 岡倉天心さん、字はうまくないなぁと。審美眼があることと上手い下手は無関係ということですね
- 34「春曙・秋雨」
- AKB28で有名な(?)秋田県立近代美術館の所蔵作品。この桜は良い感じです。
- 46「夜」
- ミミズクさん可愛いです。といいつつ、山種にあるみみずくさんのほうが好みかなぁと。
- 37「秋色」
- 上の写真で写した看板に描かれている作品ですが、葉の色がやり過ぎと思えて、どうも好きになれない感じです。
- 100「雲中富士」
- 琳派的に、金屏風に富士山の山頂部を描いている絵。で、この絵を見ていて気づいたのですが、横山大観の富士って裾野から描いてあるのでなく、山頂部だけなんですね。高度3000mからみた富士山という感じ、それが違和感なのかもしれません。とにかく、個人的には富士は下から見たいかなと。
- 119「夜桜」
- 大倉集古館にある名物ですが……やっぱりこれは何が良いのか判らないのでございます。ヨーロッパの人に余白は判らないだろうということで画面を全部埋めたそうですが、パワフルではあるが品を感じない作品になってしまっているような……。
と、こうやって見てみましたが、大観が頑張っているのは判るのですが、好みかというとそうじゃないとしか答えらない感じなんですよね……。もうちょっと、力を抜いて描いてたら、割合好きな部類に入ったかもしれない気がしますです……。