最近何となくご無沙汰気味の五島美術館に、久しぶりに行ってきました。
いやね、東京都区内とはいっても隣の駅が千葉県という端っこのほうに住んでますと、世田谷の二子玉川近辺というのは感覚的には横浜よりも遠い遠方でして……。しかも私、断簡と書と茶道具が得意でないですから……。
ですが今回展示されるのは近代日本絵画。これならばどちらかというと得意分野ですので、距離も気にせずに向かったわけです。
ということで毎度の通り、気に入ったor気になった作品について一言コメントをば。
- 野村文挙「吉野春暁図・龍田秋色図」
- 室町時代くらいからよく作成されていた春の吉野と秋の龍田川を描いたもの。どちらもですが、薄く塗られた茜色がやさしい風情です。
- 小川芋銭「夕風」
- 芋銭と言えば河童でしょう、ですが、これは河童の絵ではないです。でも、葉っぱのうねりに妖気のようなものを感じるんだわね。
- 横山大観「晨征」
- 展示室には結構な数の大観が並んでましたが、気に入る作品が殆ど無いのは毎度の通りです。というか、そもそも大観、上手くないでしょ(マテ)。
この作品も朝もやの場面かと最初思いましたが、よく見ると三日月があるので夕暮れらしく。時間すら不明瞭でいいのかしら……。 - 横山大観「霊峰四題」のうち「春」「夏」「秋」「冬」
- 大観名物の富士を描いた作品。戦後に描かれたものだからなのか、妙な神々しさが無くてありのままの富士、という感じなのが良いです。
- 狩野芳崖「烟巒溪漲の図」
- いかにも水墨画、という感じの激しい岩と崖が目を引きます。
- 川合玉堂「松山懸瀑図」
- 玉堂さんの描く墨一色の作品。。後ろ山が霞んでいる感じは玉堂さんならでは。
- 川合玉堂「春峡」
- 桜咲く急流での川下りの様子。昔はこうやって木材を下流まで運んでたのですが、今ではすっかり見ることがなくなった光景です。
- 川合玉堂「高嶺新雪」
- この雲の湧いてくる空気感も良いですな。
- 小林古径「柳桜」
- 花と緑は既に点描の世界。そんな中に描かれている鷺と犬がアクセント。にしても、どちらも可愛いねぇ。
- 児玉希望「薫風」
- これはかなり富士山に近い場所から見た感じの富士です。何となく、箱根の外輪山から見た感じでしょうか。沸き立つ雲が絵のリアルさを増してるような。
我ながら横山大観に対する評価がひどいですが、大観以外は良い作品が多くて楽しかったですわ。
近代日本絵画は、この五島美術館や講談社野間記念館くらいの広さのところで見るのが、分量的にも一番楽しい気がしますわね。