月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

JR東日本の消費税増税後の運賃

今日12日に、JR各社が消費税増税に対応した来年4月からの運賃を国土交通省に申請を出しています。


一応、国土交通省の認可前ですので最終決定ではないですが、基本的にはこれで決まるのではないかと思います。

ただ、ちょっとややこしいのがJR東日本で、ここは消費税を正確に転嫁することを目的に、ICカードについては1円単位の運賃としています。で、券売機で切符を買うときは10円単位となります。券売機の方を1円単位にするには、自社だけでなく他社の券売機も含めて対応が必要なので、これはこれで仕方がないのかなと。

しかし、券売機での10円単位が曲者で……

乗車区間 IC乗車券 券売機
山手線内、電車特定区間*2 1円未満切り捨て 10円単位に切り上げ
上記以外 1円未満切り捨て 10円単位に四捨五入

となるので、東京近郊以外の場合では、IC乗車券の方が1~4円高くなるケースが出てきてしまうという……。
JRの運賃は東日本単独では決められない、JR全社を通しての共通ルールなので、簡単に切り上げにできなかったのは理解できるのですが、大丈夫なんでしょうかねぇ。


とりあえず、ICカードの方が割高になる運賃だと問題になりそうな点は、2点思いつきます。

まず1つ目が、国土交通省が10月29日に出した通達「消費税率引上げに伴う公共交通運賃(鉄道、バス)への1円単位運賃(ICカード利用)の導入について」に反していること。このなかで国土交通省は、「・ICカード運賃は現金運賃と同額ないしそれより安価となることを基本。」と、わざわざ書いてますし、更には念を入れて「鉄道・バスにおける具体的な端数処理の方法」[PDF]という資料まで出してますからね。これを無視されるとは思ってなかったんじゃないかと。

そしてもう一つが、ICカード普及という観点でどうなんだという。都心部に居ると感じませんが、ちょっと地方に行くと、鉄道には決まった区間にしか乗らないという人も多いのです。その人たちが、自分が普段乗る区間が、実は普通に切符を買った方が安いといわれたら……Suicaを持つ理由が無いですよね。
JRとしては、Suicaを使ってくれる方が自動改札機のメンテナンスは楽になる*3し、券売機のスペースを減らして他のことに有効活用できるし、ビッグデータから色々な分析ができるしと美味しいことだらけのはずですが、そんなSuicaの普及を阻害するような運賃を持ってくるところが謎だなぁと。


とりあえず当面は、国土交通省が許認可権をどう行使するのか、注目かなと思っています。

*1:URLが表示できないほど長くてねぇ。毎度のことながら、JR九州ニュースリリースのページは使い勝手が悪いです……

*2:東京近郊に設定されている。国鉄時代の国電区間

*3:切符を動かすためのモーターがいらなくなる