江戸東京博物館での「大浮世絵展」を見てきました。
この展覧会、
- 2カ月の会期の間に毎週展示替えがある
- 「大」とタイトルについてたり、宣伝で色々あおってる
- それでなくても浮世絵の展覧会はお年を召した方が多数押しかける
と言うことで混雑することが目に見えてます。
ということで、江戸東京博物館の夜間開館がある、土曜日の17時過ぎに訪問したのです。
今回の展覧会は、桃山時代の岩佐又兵衛さんから、明治時代の川瀬巴水さんまで、浮世絵に関係するものを一同に時代順に集めて展示しましたという感じのものです。この展覧会を見れば浮世絵の全てが判るような感じですが、展示替えが多いのがねぇ……。
とりあえず頭から順に(要するに時代順に)、気に入った作品を羅列してみます。
- 5婦女遊楽図屏風
- 入ってすぐの場所に展示されていた屏風。もう顔の長さが岩佐さんだわ(というか、伝岩佐さんなのですが)。
- 78一筆斎文調「墨水八景 綾瀬の夕照」
- 田園地帯を示すように見える緑が良い感じ。それにしても、綾瀬って江戸時代はただの田園だったんだなぁと
- 189窪俊満「桜花遊女と禿」
- 肉筆の浮世絵ですが、薄い墨で描かれていて、また線がとても細かいです。着物の柄も細かくって、技術的なところに目が行きます。
- 227渓斎英泉「江戸高縄之景」
- 渓斎英泉といえばのキリル文字(違います)の縁取りが良いです。これ、好きなんだわ。
- 239葛飾北斎「たかはしのふじ」
- 「たかはし」と言っても地名ではなく、高い橋、の意味。高い橋がまたぐ中に富士山が見える、覗き富士の構図です。
- 257葛飾北斎「百合」
- 浮世絵なので木版画ですが、デッサンような緻密さがあります。
- 252葛飾北斎「富嶽三十六景 本所立川」
- 木場から見た富士山ですが……富士山よりも横で積み上げている材木の方が高いとか、富嶽三十六景のシリーズは高さの表現が楽しいですわ。
- 296歌川広重「甲陽猿橋之図」
- 紙を縦方向に2枚使って上下方向を強調した絵になってます。更に、猿橋の下に月があって、これも上下方向の強調に役立ってて。どんだけ高いところにあるんですか、猿橋さん……。というか、実際の猿橋を見とくべきよね……。
- 337歌川国芳「其まゝ地口猫飼好五十三疋」
- 国芳さんの駄洒落が厳しい、猫の東海道53疋、3枚組。これ、好きですわ~。せっかくなのでこれの絵はがきとかあったら買いたかったのですが、なぜか1枚のはがきに3枚組を押し込んだものしかなかったので、図版が小さくて……。残念でしたわ。
- 405小林清親「鉄砲打猟師」
- 明治に入りまして、まずは小林清親。なんか少年誌の挿絵のような緊迫感のある画面です。
- 417楊州周延「千代田の大奥」
- この作品、ちょうど2月の初めに名古屋の徳川美術館で見ていたんですよね。明治時代になって、おおっぴらに江戸城の中の様子が描けるようになったので登場した作品です。
- 426橋口五葉「髪梳ける女」
- 五葉さんのこの作品、好きですわ~。ただ、保存状態が良くないのか照明の関係なのか、雲母の輝きを感じられなかったのが心残り。
- 436川瀬巴水「東京二十景 芝増上寺」
- 最後は川瀬巴水。有名な増上寺の山門です。馬込でも見てますけど、庶民の手軽なグラビアだった浮世絵が芸術に高まっていってしまったのを感じます。
ふぃ、出品点数が多いから、感想も多くなってしまいましたわ。
それにしても、月猫さんって、こんなに北斎好きでしたっけ?。なぜか北斎の感想が多いことに驚くのでした。
さてこの大浮世絵展、東京は3月2日までですが、このあと名古屋と山口に巡回します。きっと東京ほど混雑はしないと思いますが、面積的に展示替えが多そうな気がして、ちょっと不安をかんじたりして……。ま、そういいつつ名古屋で再度見たいと思う、良い展示でございました。