3月15日の土曜日に、山種美術館の講演会に行ってきた話は以前に書きましたが、当然ながら山種美術館での展示も見てきています。
今回の展覧会、「富士と桜と春の花」というタイトルのとおり、「富士」「桜」「春の花」の3部構成になってます。このひねりの無い感じが山種らしくて、あたしゃ好きだわ。
ということで、感想の方も3部構成に分けて見て行きましょう。
富士
まずは富士を描いた作品から。冒頭は横山大観の富士山だったりしますが、それは無視して(笑)*1。
- 平田百福「霊峰」
- 富士山自体はかすませて、手前の山をクリアに描いて。富士山が海の向こうにある蓬莱山のようにも見えてきます。
- 橋本関雪「夏日富嶽」
- かなりリアルな感じで描かれている富士山。青一色でなくて、赤い地面のところもあるのが、実際に富士山を見ながら描いたんじゃないかと思わせます。
- 小林古径「不尽」
- なんかすごく山の形がデフォルメされていて、実際の富士山を描いた、というよりも、かぐや姫に出てくる富士山を描いたという感じがします。というか、だからタイトルが「不尽」なのかしら?
- 司馬江漢「駿河湾富士遠望図」
- 実際にこう見える場所は無い気がしますが、こんな感じに見えるところが有りそうに思えるのが司馬さんらしいところです。ちなみに山下裕二先生の講演会では、この絵は「元祖銭湯の富士山」と評しておりました……。
- 厳島三保松原図屏風
- サントリー美術館らしい、桃山期の風俗屏風ですよ。三保の松原で毛氈敷いてピクニックとか、楽しうな感じが良いです。
桜
続いて桜。2012年にも桜の展覧会を山種美術館ではやってますので、作品はかぶる部分もあります。
春の花
最後の「春の花」は、第2展示室の方で小規模に展示されてました。
- 福田平八郎「牡丹」
- 裏彩色が妖艶さを増している、福田さんの牡丹です。第2展示室の小さな部屋で主役であるほうが、何時もよりも妖しさが増しているように見えて、良いのではないでしょうか。
- 鈴木其一「牡丹図」
- 写実がもう近代という感じで。隣の川端龍子さんと見比べても、時代の差を感じないです。
と、こんな感じで。個人的には、やっぱり富士山より桜の方に気が行きますね。山下裕二先生も言ってましたが、富士は描いてみても「どうしても実物に跳ね返される」ので、絵よりは本物も見たくなってしまう面があるのかも……。
おまけ:山種美術館から渋谷まで歩いている途中で見つけた桜。春はもうすぐそこまで、ですね。