月猫ツーリスト

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

京都での2つの若冲展

今年は伊藤若冲が亡くなってから200年の節目ということで全国で伊藤若冲の展覧会が開かれてます。春には東京で大規模なイベント展覧会がありましたが、若冲の本場の京都では、代わりに展覧会の数で勝負。夏から秋にかけて、承天閣美術館細見美術館京都市美術館京都国立博物館が展覧会や特別展観を予定しています。そのうち承天閣と細見はすでに開催中ですが、開催されたとたんに混雑情報がちらほらと……。
ということで、早速行ってみたのでした。


まずは承天閣美術館伊藤若冲展。

この展覧会の目玉は、動植綵絵をコロタイプ版で30幅すべて展示していること。コロタイプ版ということで要するに複製なのですが、かなり精密な複製で、若冲さんの色や線をほぼ忠実に再現できています。
といいつつ、裏彩色だけは流石に表現できてないなぁなどと、見て思ってしまいましたが。それは部屋の中央にある釈迦三尊を見ると一目瞭然で……。まぁ、動植綵絵と合わせて33幅の中でどれに力を一番入れているかと言えば釈迦三尊なわけで、比較する相手を間違ってるという気もします。

ただ、そうは言っても何しろ本物を展示すると1ヶ月で50万人を越えて3時間待ちですからね。次回は何時になるかも判りませんし*1、精密な複製でも充分圧倒されますので見ておいて損はないかと。


奥の展示室は打って変わってモノトーンの世界。慈照寺の障壁画など、墨一色の作品が続きます。

慈照寺の障壁画は今回は全てを一度に展示。この展覧会、会期が12月まであるのですが、重要文化財を5か月も展示して大丈夫なのかな……。
それはともかく、ふにゃっとした竹とか、ぶどうの蔓がくるんくるんとか、鶴さんが真ん丸とか、若冲さんのゆるさ、ここにありって感じでした。

「玉熨斗図」。これは初めて見た気がするのですが、なんですかこの目玉親父!。願いをかなえてくれる如意宝珠が目玉のバケモノに見えるんですよね……。

「中鶏左右梅図」。鶏さんが屋根に上がって見えを切っています。ニワトリさんも屋根の上まで飛べるんですね、って屋根の上まで飛べるのだったら、恋するニワトリは無精卵を生まなくて済んだのではないかと(って、何の話だ)。
なんとなく、ニワトリさんが上がった屋根の描き方が、石灯籠図に通じるものがある気がします。

「亀図」。真上を見上げている亀さんの首が、いつもながら可愛い。

芭蕉小禽図」。鳥さんの丁寧さと、葉っぱの大胆さのコントラスト。丁寧も大胆も、どっちもいけるのが若冲さんだわ。

という感じで、うん、個人的には動植綵絵よりも水墨画の方が力が程よく抜けてて好きですわ。




そして続いて、もう一つの若冲展が開かれている細見美術館です。
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こちらは東京の巡回展という噂が出ているようで色々と大変な様子。東京都美術館の3フロアと細見美術館の3フロア、同じ3フロアでも床面積が違いすぎますので巡回展のはずがあるわけもないのですが、どこでそんな勘違いが生まれたのやら……。

といいつつ、東京の巡回展には細見美術館から出展した作品もいくつかありましたので、その作品にとっては巡回展と言えるかも?
例えば「虻に双鶏図」「雪中雄鶏図」「糸瓜群虫図」辺りは東京からお帰りなさい、でしょうか。
「糸瓜群虫図」は何度となく見ていますが、細見美術館の中で見るのは久しぶりな気がします。蔓のくるくるしているのとか、見ていて愛らしいです。

また東京に行ってなかった作品としては、「花鳥図押絵貼屏風」「鶏図押絵貼屏風」という2つの押絵貼屏風がありました。これは鶏さんのポーズが1枚ごとに様々で、よくこんなポーズに気づいたなぁと思うものもあります。

それから『乗興舟』の版木なんてものもあって。良く今まで残ってたな。


その他に、若冲の弟子や、関連する今日の画家の作品もありました。狭い展示室の割には結構盛りだくさんです。

その中では若演の「釣瓶に鶏図」これが面白かった。どう見ても鶏を描きたかったというより、半円を描きたかったけど鶏ということにした、と言いたくなるような見事な円弧ぶりで……。


と、やはり細見美術館も、水墨画の方に見るべきものが多かった感じでした。

動植綵絵の手の抜きようのない細かさも若冲さん。水墨画で見せるゆるさや大胆さも若冲さん。本当に多彩な人で、見ていて飽きませんわ。

*1:たぶん、三の丸尚蔵館の拡張工事が終わった後に、展示してくれると勝手に思ってますが……