サントリー美術館で、与謝蕪村と伊藤若冲を取り上げた展覧会がありましたので、見てきました。
今回の展覧会、与謝蕪村と伊藤若冲が二人とも1715年生まれであることから、300年目のお誕生日祝いとして行われるものです。
とはいいつつ、この二人の接点は華麗なる18世紀の京都の絵画界にいたということくらいなので、どうなることやら、という感じなのですが。
とりあえず、展示を順にみていきましょう。まず最初は、「18世紀の京都ルネッサンス」という、京都での絵師の横のつながりのようなもの。
ここでの注目は「諸家寄合膳」と「諸家寄合椀」。京都の絵師がお膳やお椀に寄せ書きをしたものが展示されています。前者では20人、後者は12人の絵師が参加していますが、これだけの人数が参加できるというのが京都の凄味でしょう。
ここから当面は、時代順に作品が並びます。
この部分はちょっと展示順序からシャッフルして、若冲さん、蕪村さんの順に見てみましょうか。
まずは若冲さん。
- 雪中雄鶏図(細見美術館)
- 細見美術館が持っているカラーの鶏さん。落款が景和の時代から極彩色で丁寧で、最初からすごい天才という感じ。
- 糸瓜群虫図(細見美術館)
- これも細見美術館の収蔵品。ですが、細見美術館よりもデパートの巡回展で見ることが多いような気が。沢山いる虫のち密さと、瓜の蔓がくるんくるんなのが好きですこれ。
- 紫陽花白鶏図
- 紫陽花の葉が病気持ちなのが、良く対象を見ていると言うか、仏教的と言うか。
- 梅花図(MIHO MUSEUM)
- 梅の枝が一回画面の外に出て、再度戻って花をつけているのがいい。
- 雪中雄鶏図(岡田美術館)
- 色のこり方が強烈で、思わず岡田美術館らしいなと(それはどういう意味だ?)。
- 柳に雄鶏図
- 絹本に墨一色とは斬新な。正面からの鶏が早描きっぽいライブ感があってよいです。
- 花鳥版画(平木浮世絵財団)
- どうでもいいのですが、収蔵先は平木浮世絵「美術館」じゃないんだなぁと改めて。
ということで、若冲さんの版画コーナーです。黒の背景に描かられた極彩色の鳥たちが実に引き立ってます。けど、版画の線だと若冲さんの細かさは表現しきれないのかぁとも思うわけで。 - 乗興舟
- ちょっと上下が擦れていて、あまり状態が良くない気もします。この作品は1つ上の「花鳥版画」と違って黒にグラデーションがあるせいか、若冲さんの表現の細かさがちゃんと見える気がします。
続けて蕪村さん。
- 風虎図屛風
- 風に立つライオン、じゃない、猫、じゃない、猫っぽい描き方なものの、カッコよさもありますね。
- 維摩・龍・虎図(滋賀・五村別院)
- 韓国で描かれた虎の絵を元に虎を描いているのではないかという解説がついてましたが、言われてみると確かに高麗美術館などで見覚えのある朝鮮的な虎だなぁと。
- 飲中八仙図屛風
- 従者とかまで含めて人が沢山描かれていて。表情はそれぞれ描き分けられていますが、基本酔っ払いですので楽しそう。
そして、4階展示室の最後の方には「中国・朝鮮絵画からの影響」というコーナーがありました。
- 与謝蕪村「枯木叭々鳥図」
- 叭々鳥が大暴れしている様子の絵。これは見ていて楽しい。:沈銓「柘榴群禽図」:沈南蘋来ましたっ。花や実の描き方が陰影がはっきりしていて何かおどろおどろしく見えるのは、この人の特徴のように思えます。
- 与謝蕪村「筆晩秋遊鹿図屛風」
- 蕪村の鹿は美しさと言うよりは不細工さという感じで、この鹿さんも首が太いな……。整ってないからといって写実的ということも無くて、何なんだろ?
ということで、この後展示は3階に続くのですが……、ちょっと長くなったので続きはまた後日。