京都駅の中にある"美術館「えき」KYOTO"で、京都市美術館所蔵の近代日本画展をやっていたので、見てきました。
京都市美術館では現在、リニューアル工事を行っているため閉館中です。そのため今までなら年に1度は有った収蔵品展も無くなってましたが、近場の美術館で収蔵品を公開する機会出来たのは素直に良かったと思います。
いやだって、京都市美術館は大型展覧会への場所貸しばかりやってるように見えますが、収蔵品の質は関西随一ですからね。
今回の展覧会のテーマは、和服女性の描かれた近代日本画というもの。どう考えても私の好物(?)ですので、年末に京都に行ってから2週間しか経ってないのに、名古屋に行くついでに寄るという無茶をしたわけです。
とりあえず、早速展示品を振り返ってみましょうか。
- 菊池契月「散策」
- 展覧会の会場に入って最初に目にする作品がこれですよ、これ。契月さんの「少女」「散策」「友禅の少女」の3作品(いずれも京都市美術館が所蔵)は、きりっとした女の子が素敵な作品です。自分としては「少女」が一番好きなのですが、戌年なので犬が登場する「散策」が選ばれたようです。
それはともかく、今回は手狭な会場での展示なのもあってか、作品がとても近いです。近くから見ると、猶更おかっぱの髪が良いですなぁ。 - 菊池隆志「爽夏」
- 菊池契月さんの二男の作品。そう言われると契月さんに雰囲気が似ている気がします。手にヒルガオの蔓を持ってる感じや、着物の貝の柄とか、良い雰囲気。
- 西山翠障「樫花」
- 赤玉ポートワイン(違います、というか、そもそも脱いでないだろ)
顔や着物が周辺の花よりよりも淡いのもあって、幻想的な絵に見えます。 - 丹羽阿樹子「ゴルフ」
- 丹羽阿樹子さんの作品でよく展覧会に登場するのは「遠矢」というワンピースのお嬢さんが弓を弾いている絵ですが、今回は和服縛りがありますので……。
そんなわけで和服でパターゴルフをするお嬢さんが描かれているのですが、真剣そうな様子が可愛いのではないでしょうか。 - 菊池契月「友禅の少女」
- 契月さん、その2。この少女のこちらを正面から見つめる視線も良いと思うのですよ。というか、契月さんの描く少女は視線が鋭いのが特徴かも。
- 梶原緋佐子「静閑」
- 契月さんの弟子にあたる人。絵を描いているところを描いてますので、自画像的なものと言っていいのかしら。凛としたたたずまいが魅力的。
- 北野恒富「いとさんこいさん」
- 昨年に千葉市美術館で開かれた北野恒富展にも展示されていた作品です。お姉さんと妹さん、縁台でゴロンゴロンしているほうが妹さんなんでしょうな。妹が闊達になるのは古今東西共通のようです。
- 由里本景子「望遠鏡」
- 望遠鏡で星を見る三姉妹という素晴らしい構図。着物を着ていますが着物の色も鮮やかですし、髪形などは現代風のモダンガールになってまして、新しい時代を感じる女性になってますのが、なんともかわいい。
ちなみに望遠鏡を見る少女という題材の絵はとうきょ国立近代美術館にも太田聴雨の「星を見る女性」というのがありますが、昭和初期の流行だったんでしょうかね? - 玉城末一「藤椅子によれる少女」
- 今までの絵と比べると、三つ編みの髪形や羽織ってる着物が、なんとなく町の娘さんという感じに見えます。紙からつま先などがはみ出していたり、ちょっと紙に対して斜めに描かれていたり、アンバランスな感じもめずらしい、というか西洋絵画的に見えます(でも和服)。
作品点数はあまり多くありませんでしたが、好物は少量でも充分楽しめますね。良い展覧会でした。
今回は和服縛りでしたが、ぜひ洋装縛りで同じような展覧会を、やってもらえると良いのですが。