月猫ツーリスト雑記帳

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北斎-富士を超えて@あべのハルカス美術館

あべのハルカス美術館で、北斎展を見てきました。
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今年は浮世絵方面は北斎の当たり年で葛飾北斎をテーマにした展覧会がいくつも開かれます。
そんな中でこの展覧会は、大英博物館が企画した展覧会の日本巡回展という位置づけで、日本ではあべのハルカス美術館のみで開催の予定です。
元々イギリスで企画された展覧会だからでしょうか、展示は北斎の様々なジャンルを網羅する(いや、春画は無かったけど)とともに、西洋絵画からの影響を感じられる作品も展示されているのが特徴的でした。


とりあえず、当日のメモから展示作品をいくつか紹介してみます(所蔵館の画像リンクも、可能な範囲でつけてみました)。

司馬江漢「相州鎌倉七里浜図」
なんか司馬江漢のような西洋風の江ノ島が出展されているなぁと思いましたが、まぎれもなく司馬江漢です。西洋絵画の影響を受けていて、北斎を象徴する富士の描かれた作品の代表として、ここに出展されたんでしょうかね。

www.google.com

「花見」
ライデン国立民族博物館が所蔵する、とても色が鮮やかで陰影のはっきりした版画が何枚か展示されていました。ちょっと鮮やかすぎる気もするのですが、これはどうやって刷ったのでしょうね。
「藤野巻狩り図」
木更津の神社が所蔵する、富士を中心に描いた板絵。ちょっと見た感じは絵馬のようにも見えます。
「富嶽三十六景 隠田の水車」
富嶽三十六景はかなりの数が展示されていました。神奈川沖浪裏や凱風快晴といったメジャーどころもありますが、自分としてはこの水車が好きだなぁ。特に水車がつくる水の表現が好きなんですわ。

www.britishmuseum.org

「地方測量之図」
北斎のいた時期は伊能忠敬の活躍する時期でもあるんですよね。実際に測量をする様子を描いたこの作品、地図好きには見逃せません。

www.britishmuseum.org

「百合」「芥子」「牡丹・蝶」
この辺りから、北斎の写実表現に焦点を当てた展示になります。ということで、花を描いた作品が。この写実ボタニカルアートですな。
C0083353 (牡丹に蝶) - 東京国立博物館 画像検索

www.britishmuseum.org

「鳶尾草・瞿麦・翡翠」
シャガとカワセミ。花は写実的なのに、鳥は見得を切るあたりが面白い。

www.britishmuseum.org

「桜に鷲図」
氏家コレクションなので、2月に鎌倉国宝館で良く展示されているやつです。鷹の足が、がっしりしているのが見どころだし、良く見ているなと思うポイントかと。
「唐土名所之絵」
この辺りから、写実ではなく想像の世界を。ということで中国大陸図なのですが……、山がちな中国大陸ですな……。
「女三の宮図」
十二単の裳のひだとか綺麗ですねー。それから猫さんがリアル、なんだけど、この猫さんの顔は好みじゃないのよね。ちょっと猫さんを写実的に描きすぎじゃないかしら?
葛飾応為「月下砧打ち美人図」
北斎の周辺という章では、娘さんの肉筆が2点もありました。なるほど確かに女性を描かせるとお父さんよりうまいですな。
C0034762 月下砧打ち美人図 - 東京国立博物館 画像検索
「濤図」
普段は小布施の北斎館にある天井画です。もうね、波の表現が凄くてね。なのに破綻が無くてフラクタル図形のような感じもします。


流石の北斎で混雑が激しかったですが、いつも見慣れた富嶽三十六景にとどまらないイギリスセレクトな北斎ワールドを見ることが出来るという意味で、他にはない北斎展だったと思います。東京から見に行く価値がありましたです。