月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

国宝展@京都国立博物館(10/9後半)

京都国立博物館の国宝展の感想、前回の続きです。
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前回は、3階から始まって2階の真ん中で力尽きたのでした。


2階の4つめの部屋は近世絵画のコーナーです。

まずは俵屋宗達の「風神雷神図屏風」(61)。いきなり強いのが来ました。宗達さんのは後でまねた光琳さんと違って絵に勢いがあるし、全体を描いてないから絵が大きく見えるのが好きですわ。
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狩野秀頼の「高雄観楓図屏風」(59)は東博で見たことがあるはずの作品。永徳と違って勢いよりも落ち着きを感じる作品ですが、それでも勢いの良さは見て取れます。

(なんでこんなに斜めから撮影してるんだ?)
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2階の最後のの部屋は中国絵画。室町時代などに受容したり、戦前に財閥の総帥が手に入れたものなど、中国絵画は結構日本にあるのです。

普段は東博にある「瀟湘臥遊図巻」(71)。中国って、作品に蔵書印をぺったんぺったん押しちゃうのが良いですよね。乾隆帝なんか冒頭に一筆付け加えちゃうし。
で、作品のほうは、霞むような墨の濃淡が良いと思いました。


「飛青磁花入」(114)は中之島の東洋陶磁美術館の名品。この鉄さびのような斑模様が無造作な感じが良いです。きっとこれの良さは完璧主義じゃには判らないでしょうな(そのあたりも日本に渡ってきた理由かもしれません)。
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やっと1階に降ります。って、実は展示面積的にはここが中間地点です……。量が多すぎるってば。


ということで、1階の最初は彫刻ルーム。

いつも通り金剛寺の「大日如来坐像」(96)が部屋の中央におりまして、常設展示と一緒やんと思ったり。というか、今年3月に国宝指定されていてよかったねぇ、動かす手間が1回減って(そうじゃないだろ)。

それから平等院鳳凰堂の飛天の皆さん、正式の名前は「雲中供養菩薩像」(93)も来ていました。この飛天の皆さんは鳳凰堂の修理の際に摸刻に置き換えたので、結構頻繁に宇治の外に飛んでくるようになった気がします。
それにしてもこの飛天の皆さん、動き出しそうな躍動感のある体の捻り方をしていますね。
平等院について | 世界遺産平等院 京都宇治

醍醐寺の「虚空蔵菩薩立像」(88)は、一木造でずんぐりとした感じの仏様。衣のひだの表現が力作です。

法隆寺の「広目天立像」(85)。飛鳥時代の仏様ですが、広目天よりも邪鬼の可愛らしさに目が行きます。なんかこの邪鬼さん、中南米の文明で作られた造形、と言っても通じそうな、そんな愛らしさがあります。


1階の彫刻の部屋の奥にある部屋では陶磁を展示してます、と展示リストなどには書かれていたのですが、、実際には禅をテーマにした展示室になってます。なので禅僧の書なんかも併せて展示されています。

この部屋での注目は、部屋の中央にあった相国寺の「玳玻天目」(117)。曜変天目のような妖しさを感じるほどではないですが、この天目も内側の模様を見るのが楽しいかと。


そして、ここから薄暗い部屋が4つ続きますよ(そういう言い方しないの)。なお、このあたりから疲れたのと時間が足りないのとで、見方が荒いです(をぃ)。

まずは絵巻の部屋です。

「粉河寺縁起絵巻」(32)はたしか京博に寄託されている作品です。火災による損傷が激しいのですが、それでも観音さまは焼け残っていて、これぞ観音さまの霊験なんだと思います。
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「信貴山縁起絵巻」(31)は去年の春に奈良博で見ましたね。蔵が飛ぶやつ。今回もいい飛びっぷりでした。米俵だけ飛んで帰るところも展示されてます。
にしても、返却するなら米よりも蔵の方が、食べるに困らないのに……って思うのは俗物だからでしょうかね?

(って、作品紹介写真がこれでいいのか?)

「絵因果経」(17)は芸大美術館でコレクション展があると必ず登場する作品。いつ見ても絵の緩い感じが好きなのですが、なんたって奈良時代に描かれた絵ですからね。
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続いて染織の部屋へ。

この部屋にいたのは中宮寺の「天寿国繍帳」(121)ですよ。
天寿国繍帳といえば聖徳太子の無くなった直後に作られたものですから1400年経ってるわけですよ。それだけの年月がたっているのに、色も判るし、刺繍だということも見て取れる。そういう機会はそうそう無いですよね。
中宮寺について | 聖徳宗 中宮寺 公式ホームページ


法隆寺の「四季獅子狩文様錦」(122)。隋か唐で作成されたものだそうですが、今でも騎馬の人が見て取れるのですよね。時を超えて残る素晴らしさです。


さらに、金工の部屋に続きます。

ここで中央に展示されていたのは、岡山県立博物館が所蔵する「赤韋威鎧」(104)。こんな素晴らしいものが岡山後楽園の脇にあるとは驚きです(そういうこと言わない)。
平安時代の兜が、あまり手を加えずに残っているというのも、凄いよなぁ。
赤韋威鎧〈兜、大袖付/〉 文化遺産オンライン


やっと最後の部屋になりました。最後は漆芸です。

「宝相華迦陵頻伽蒔絵𡑮冊子箱」(131)は平安時代の作品。ですがそれだけ時を経ていても模様がちゃんと見えるのが素晴らしいです。
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「初音の調度」(137)は徳川将軍家から尾張徳川家に嫁いだ千代姫の嫁入り道具の総称です。名古屋の徳川美術館に行くと、いつも2~3点は見ることが出来ます(いや、本当に)。今回は部屋の長辺に沿って1列ずらっと展示してますので、かなりの量がありました。

最後に展示されていたのは「琉球国王尚家関連資料」(138)のうち、衣装や王冠が来ていました。水を入れる容器をビーズで覆ったものがあったり、中国皇帝の衣装を改造したような衣装があったり。というか、冊封体制の中、中国皇帝から贈られた衣装だそうです。



とまぁ、1階の方ではすっかりバテていましたが、流石国宝でどの作品を見ても以前に見たときの記憶が蘇るんですよね。すっかり国宝の同窓会で、観客として楽しんでしまいましたわ。
会期は11月26日までありますし、展示替えも頻繁ですので、今度はいつ行きましょうかねぇ。
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