月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

国宝展@京都国立博物館(10/9前半)

京都国立博物館の国宝展を見てきました。
f:id:Lunacat:20171007194439j:plain

この展覧会は古社寺保存法ができて国宝という概念ができてから120年ということを記念しての展覧会です。
まぁその、戦前の旧国宝と文化財保護法以降の国宝を同列に扱うべきかという問題がありますが(戦前の旧国宝は文化財保護法が制定された段階で一旦重要文化財扱いとなって、その中で特に重要なものを国宝に指定するという手順を踏んでいるため)、こまけぇことは気にしちゃいけねぇんだよ(汗)。

そんな国宝展、当然ながら展示物は国宝指定されているものばかりで、重要文化財だけでなく御物も御物に準ずる三の丸尚蔵館の収蔵品もありません。そう考えると今回の展示物が日本の最高級文化財を集めたものなのかは疑問もありますが、まぁこれも、こまけぇことは……(略)


与太話はこのくらいにして、展示を見ていきましょうか。
京博新館の流儀で、3階までエレベーターで上がって、そこから順に階段を下りて見ていきます。


まず3階の1つ目の部屋は書跡。普段はここで陶磁器を展示しているのですが、今回は細長いケースを生かして気持ちよく巻物を広げての展示です。なお、いつもながら書の鑑賞ポイントが判らない私なので、このコーナーは料紙の綺麗さに注目することになります。

京博の所蔵する「古今和歌集(本阿弥切本)」(160)は、雲母を刷り込んで夾竹桃を描いた料紙が綺麗でした。

同じく京博蔵の「芦手絵和漢朗詠抄」(163)。これは平安時代に柳や水鳥の描かれた料紙があって、それが残ってるというのが素晴らしいです。
www.kyohaku.go.jp


3階の2つ目の部屋は考古。壁面には様々な土器などが並びますが、中央の空間は土偶祭りと化してました。

まず、東博の所蔵する「袈裟欅文土偶」(197)。あまり銅鐸の表面に描かれている絵に注目したことは無かったのですが、これは線画ですが楽しそうな絵が描かれてますね。

土偶では、「縄文の女神」と言われる山形の土偶(190)がいました。これは、三角形を組み合わせたような形で、現代美術的な感じも受けます。
megami.town.funagata.yamagata.jp

それから「縄文のビーナス」と言われる長野県茅野の土偶(189)は、出るところが出ていて(と、なぜかオブラートに包んだ表現)縄文時代の人もやるなぁと。
国宝「土偶」(縄文のビーナス) | 茅野市尖石縄文考古館

更に、縄文土器としては外せない「火焔型土器」(188)もありました。これは新潟県での地震の際に破損したはずだけど……と思いながら補修の跡はないかと眺めたのですが、当然そんなものは見つかるわけもなく……。いや、もしかしたらこれは破損しなかった個体(確か十日町の火焔型土器は50器以上あったはず)なのかもしれませんが。
www.tokamachi-museum.jp


2階に下りて、階段の右にある1つ目の部屋では仏画を展示してありました。

ここでは何と言っても、中央に展示されている「吉祥天像」(1)。栄えある展示番号No1です。これを最初に見たのは1986年に東博で開かれた「御在位60年記念 日本美術名宝展」じゃないかと思うのですが、久しぶりにお会いしました。そんなに大きな絵ではないのですが、奈良時代からずっと美しいお顔だというのが素晴らしいじゃないですか。
吉祥天女画像【国宝】慈恩大師【国宝】二天像-薬師寺公式サイト|Guide-Yakushiji Temple

普段は東博にいらっしゃる「普賢菩薩像」(7)も来ていました。なんか東博の本館で見るよりもライティングが良くて、心もち象さんも格好良くなってる気がします。
www.tnm.jp

  • 知恩院の「早来迎」こと「阿弥陀二十五菩薩来迎図」(13)。この絵は春に奈良博で開催された源信展でも展示されていましたが、ライトが良いのもあってか、阿弥陀さま方の左上から右下への流れが目に見えるよう。阿弥陀様の乗られている雲は流体なんですって感じまでします(なんだそれは)。

www.kyohaku.go.jp


2階の次の部屋も引き続き仏画。仏画のうち、地獄や六道に関わる絵が展示されています。

  • 聖衆来迎寺の「六道絵」(14)は、これも春の奈良博で見た作品ですね。やはりライティングが良いので奈良で見たときよりも地獄が鮮やかですが、奈良と違って一部だけの展示なので恐ろしさは程々です(?)


2階の3つ目の部屋は、中世絵画の部屋、なんですが、10月9日に見に行ったときは雪舟祭りで……。国宝になっている雪舟作品を全部展示するというおかしなことになってました。

まずは「秋冬山水図」(47)。やはりこいつは冬の岩が訳ワカメだなぁと、いつもどおりの感想です。

それから久しぶりに眺める「山水長巻」(48)。これはサントリー美術館で展示があったときに山下先生の解説を聞いたのもあって、その視点で見てしまいますが、岩とか描くときの勢いが楽しそうだなぁと思いますね。
lunacat.yugiri.org

「天橋立図」(51)は多分雪舟の作品でいちばん有名なんじゃないかと。全体としてはかっちりとした絵地図なのですが、岩などのパーツを見ると確かに山水長巻に通じるものがあります。これを見ると、天橋立は一度ちゃんと行かないといけないなと思うわけです。
www.kyohaku.go.jp

「慧可断臂図」(50)はインパクト重視という気もする作品ですが、たしかに岩とか雪舟の描き方ですな。というか、雪舟の作品を集めて展示してあるので、比較して楽しむことができましたね。
www.kyohaku.go.jp



と、長くなってきたので、2階の後半からは日を改めて書きます……。


(後日追記)
後編、書きました。
lunacat.yugiri.org