月猫ツーリスト雑記帳

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長沢芦雪展@愛知県美術館

愛知県美術館の長沢芦雪展を見てきました。
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愛知県美術館では4年ほど前に円山応挙展を開催しましたが、その際は応挙の作品を各種取り揃えただけでなく、和室っぽい空間に襖絵を入れて実際の室内での見え方を再現していました。
今回の芦雪展は、その4年前の応挙展でやったことを弟子の芦雪でもやってみよう、ってわけではないですが、同じように和室っぽい空間に襖絵を入れて実際の室内での見え方を再現した展示を行います。

そんな訳でどうしたって、4年前の応挙展と比較してみてしまうわけです。


まず第1章は、初期の作品、応挙に弟子入りして才能が開花するまでの時期の作品です。
ここでは応挙の同じ題材を描いた作品を横に並べての展示になります。
まぁこうやって比較しちゃうと、芦雪は初期の作品だということもあって、応挙の方が上手いと感じてしまいますが……。

芦雪「東山名所図屏風」(07)
八坂~清水あたりの名所図会。確かに人の感じとか応挙に似てる
応挙「牡丹孔雀図」(08)
応挙のクジャク。羽のグラデーションとか細かく綺麗
芦雪「牡丹孔雀図」(09)
こちらは芦雪のクジャク。首の向きなどに実物感がある。
芦雪「虎図」(12)
虎さん、かわいい中にも迫力が。
芦雪「花鳥図」(13)
地面にいる雀の子が可愛いのではないか!。鳥の毛が一本一本細かい。
芦雪「布袋・雀・犬図」(17)
犬は卑怯(その1)。子犬の上に足を載せる子犬とか、おーい。
芦雪「岩上猿・唐子遊図屏風」(18)
応挙っぽい題材と思うが、猿の目がまん丸で愛嬌があるから、応挙でなく芦雪だね、と。
芦雪「牛図」(19)
牛が画面からはみ出しそうだったり、描表装だったり。牛の奥行きは陰影で表現していて西洋的でもある。


第2章は芦雪が南紀で残した作品が登場します。襖絵の立体展示もこちらです。

芦雪「童子・雀・猫図」(28)
スズメ、ネズミ、そしてネコーーーーー。ネコかわゆい。
芦雪「群猿図屏風」(30)
叫びながら描いたかのような荒々しい岩と、外隈の白い猿。静と動が普通と逆だ。
芦雪「寒山拾得図」(31)
寒山拾得、これも勢い。
芦雪「薔薇に鶏・猫図襖」(23)
無量寺の襖を立体展示、その1。岩を隔てて猫と鶏が睨み合ってる。別の猫は魚を取ろうと水中を見てる。確かにこの魚を取ろうとしている猫、裏面の虎図にポーズが似てるかも。
芦雪「虎図襖」(22)
無量寺の襖を立体展示、その2。重要文化財の猫図。手足とかヌイグルミだもんな。
芦雪「龍図襖」(21)
無量寺の襖を立体展示、その3。龍もかわゆい。

襖絵の立体展示は、実際にはこんな感じでした(撮影したのは展示室の外にあったミニチュア模型。本物は撮影できません)

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第3章では、芦雪の奇想に焦点を当てます。
というか、奇想じゃなくて可愛い動物大集合でしょ、ここは。

応挙「双鹿図屏風」(33)
応挙の鹿。正面向き過ぎて怖いってば。
応挙「狗之子図」(37)
犬は卑怯(その2)。子犬の背中にもたれかかって寝るんじゃないっ。
芦雪「薔薇蝶狗子図」(38)
子犬が子犬のしっぽを押さえてるとか……(かわゆい)。
芦雪「なめくじ図」(45)
なめくじさん、結構な距離をうろうろしてますな……。


4章で円熟期の芦雪さんを取り上げてましたがそこは(メモを取った作品がなかったので)省略しまして。

最後の5章は、晩年の芦雪さん。人間も年輪を重ねると、ということなのか、抒情的な作品が増えてきます。

芦雪「月下雙兎図」(68)
外隈で描く雪うさぎ。落ち着いてて良いの。
芦雪「孔雀図」(63)
メインの孔雀よりも、一緒にいる鳥さんが中々かわいい。
芦雪「朧月図」(72)
外隈で描く朧月。月が沈んだばかりのような藍色が珍しい。
芦雪「月夜山水図」(74)
これも月夜。夜の叙情を感じます。
芦雪「方寸五百羅漢図」(84)
以前のMIHO MUSEUMでの芦雪展で大注目だった、とっても小さい絵。倍率8倍の単眼鏡でも見えないんですけど……
芦雪「瀧に鶴亀図屏風」(79)
他の亀の上に手をかけてこっちを見てる亀とか、好きですな。
芦雪「白象黒牛図屏風」(81)
最後にこれか!。背中のカラスと足元の子犬が可愛いのよね。

やはり同じ建物で同じような展示方法でしたから、4年前の応挙展と比較してしまいますね。
応挙と比較すると、楽しさとか人を驚かせる点では芦雪の方が上かなと思いますが、絵の題材というか引き出しの数は応挙の方が良いと思いましたです。
なんとなく、芦雪は生き物が中心と思ってしまいますが、応挙は七難七福図など動物以外の題材も豊富だったな、なんてことを思うわけでした。


おまけ:コレクション展示コーナーにあったのですが、なんですかこれは……。

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