月猫ツーリスト雑記帳

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伊達政宗の夢―慶長遣欧使節と南蛮文化@仙台市博物館

仙台市博物館で「伊達政宗の夢―慶長遣欧使節と南蛮文化」を見てきました。
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この展覧会、伊達政宗ローマ教皇の元に派遣した慶長遣欧使節に関する資料がユネスコの世界記憶遺産に登録されたことを記念しての展覧会で、日本での南蛮文化を最初から最後まで見ることが出来る展示でした。

以下、章ごとに振り返ってみたいと思います。
(展示作品の写真は、写真の後ろに記載の各美術館ウェブページ上のものを直接表示しています)

1.南蛮の屏風

まず最初は、安土桃山時代から江戸初期にかけての南蛮っぽい屏風が沢山出てきます。
南蛮屏風が沢山の展覧会といえば、サントリー美術館や神戸市立博物館で時々開催されていますので見たことのある作品も多いですが、好みなので楽しんで見てしまいます。

01ベネデット・ボルドーネ「日本図」
日本図といっても、じゃがいものような形をした島に、海辺にお城があって都なんだとか。ちょっと待てって感じですが、大昔は日本ってこんな風に思われてたんだなぁと。
09狩野宗秀「都の南蛮寺図」
京都にあった南蛮寺を描いた絵としては、これが唯一だとか。
17松浦屏風
大和文華館の持つ国宝。巨大なこともあって小さな展示室を占有してました。着物の模様にすごく力が入っているのが、この時代らしいなと。

2-1.南蛮文化に魅せられた武将たち

続けて、南蛮文化と大名の関係。当然、九州の大名とか黒田如水(解説に、来年の大河ドラマの主人公と注釈があるのが面白いです)なんかも出てきますが、一番量が多かったのは徳川家康。家康さんって天下人をやってなかった場合はきっと平賀源内をやってたのではないかと思う理系人間。草薬の知識は典医を凌駕し、活版印刷を広め、望遠鏡を覗く、そんな方です。なので今回も南蛮風の鎧だけでなく、薬壺、眼鏡、鉛筆などの研究道具も展示されてました。
ちなみに鎧は、兜や襟に模様がびっしりとあって、金工に対するヨーロッパの技術力を見て取ることが出来ました。

2-2.宗教用具と南蛮漆器

こちらは、聖龕とか書見台とか洋櫃とかが大量にありまして。もうね、螺鈿が好きなラデンスキーには堪らない展示です。

71花樹鳥獣蒔絵螺鈿聖龕
九州国立博物館で所蔵している聖龕。多分、名古屋市博物館で見たことがある気がします。藤の花を螺鈿で表現しているのが素敵ですわ。
73 IHS七宝繋蒔絵螺鈿書見台
東博に所蔵されている書見台。といいつつ、東博で見た記憶が有るような無いような……。これもやはり、螺鈿に見とれるわけです。
77貝貼書簞笥
天井一面に鋲が打ってあって無骨ですが、その鋲が押さえているのは貝殻の破片という繊細さでして。これも綺麗だわ。

(神戸市立博物館)

3.いざ西欧へ!-支倉常長と慶長遣欧使節-

そしていよいよ、支倉常長さんの登場です。や~、慶長遣欧使節関連のものは初めて見るものが多くて、楽しいですわ。

134支倉常長
そんなわけで、まずは支倉常長さんの肖像画。写真では何度も見ておりますが、実物を見るのは初めてだわ。

(仙台市博物館)

149ローマ市公民権証書 支倉常長
文中に、「S.P.Q.R.」(元老院及びローマ市民)と書いてあって、吹き出しました。古代ローマから連綿と続いてるつもりなのが凄いですわ、ローマ市って。

(仙台市博物館)

139,140伊達政宗書状 ローマ教皇パウロ5世宛
書状に使われている紙に注目。金箔をふんだんに使って、黄金の国ジパングのイメージを最大限に利用してますな。
97黒漆五枚胴具足
伊達政宗さんの鎧です。21kgもあるという、大将をやるのも大変ですなぁ。
その隣にはスペイン国王の鎧もありましたが、日本の鎧の方が機能的に見えます。

(仙台市博物館)

158ロザリオの聖母像
支倉常長がフィリピンで買ってきたお土産らしいです。真ん中にヒビがあったりしますが、良い色です。

4.禁教政策とキリシタン文化

最後は、キリスト教の禁止から鎖国に向かう流れについて。このコーナーでは仙台での弾圧の話も展示されてますが、見どころだったのは島原の乱の品々。原城の図面や旗指物が珍しかったです。ちょっと、島原や松浦半島の博物館に色々有るようなので、今度見に行ってみたいかなと。



とまぁ、実に大量の展示で日帰りで行った甲斐がありました。惜しむらくは、これだけの分量を1時間で見ないといけなかったことで、もっとゆっくり見たかったですわ……。