もう3週間前くらいのことになりますけど、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館に、セガンティーニ展を見に行ったのでした。
わたしにとってのセガンティーニは、大原美術館の「アルプスの真昼」。岡山には年に2回は帰省していて、その度に自動車で15分ほどの倉敷に行くなどという人生を小学生〜高校生の頃に繰り返していれば、いい加減大原美術館の展示は覚えてしまうわけで。その中でもエル・グレコの「受胎告知」とセガンティーニの「アルプスの真昼」はインパクトも含めて双璧だと思うのです。
今回の展覧会では、この大原美術館の「アルプスの真昼」と、サン・モリッツのセガンティーニ美術館の、同じく「アルプスの真昼」が並べて展示されていました。よく似た2つのこの作品、やはり大原美術館のほうが素敵と思うのは長年付き合ってきたが上の贔屓目でしょうか?
と、ついついアルプスの画家のイメージでセガンティーニを語ってしまいますが、それだけの画家ではないこともちゃんと紹介されています。
今回の展覧会では、時代順に作品が並べてあるので、セガンティーニの作品の変遷が良く判ります。
- ミレー風味な農民画家の時代
- 色彩分割によって一気に明るくなるアルプスの画家の時代
- テーマを寓意などに求める象徴主義の時代
いや、短い人生な画家ですので、そんなに簡単に分割できるものではありませんが、まぁそんな感じです。
このうち、農民画家の時代については、国立西洋美術館の「羊の剪毛」が一番だと思いますが、滋賀と静岡では展示したのに東京では展示なし。何とも残念です。
なので、東京での一番は「白いガチョウ」。雪の白と羽毛の白が描き分けられていて、何とも迫力でした。
象徴主義の時代の作品では「生の天使」が好みでした。画面の真ん中に半ば宙に浮くように抱き合う母と子、という、ありがちといえばありがちな構図ですが、色彩も含めて落ち着く感じでした。
などと書いてますが、やっぱり大原の至宝、「アルプスの真昼」が好きなんだわ、私。会期は27日までありますので、岡山に帰る前に、もう一度見に行かないとです。