月猫ツーリスト

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

奥村土牛@山種美術館

山種美術館で開かれている奥村土牛の展覧会を見てきました。

奥村土牛というと山種美術館では醍醐の桜の人、ということもあって、この季節に開催することが多いようです。そういえば、広尾に開館した際の開館記念展で奥村土牛をやった時も(2010年の)4月でしたね。


今回の展覧会は、実質的にパトロンとして収集した山種美術館の収蔵品に東京国立近代美術館のものを合わせたような構成になっていました。


展示室に入ってまず最初に登場するのは、やはり「醍醐」。醍醐寺の枝垂桜を描いたこの作品、桜のピンクの淡い中にも様々なピンクがあったり、地面に落ちた花びらが白の胡粉の点々で表現されていたり。全体的な淡さの中にも手が込んでいて、実に見ごたえのある作品です。正直、これ一枚があれば、あとはオマケでもいいです(ゑ?)

「麻布南部坂」。個人蔵の作品で、16年ぶりくらいの展示らしいです。この南部坂は広尾の有栖川宮記念公園の南辺にある坂で、何度も通ったことのある場所だわね。とても急な坂なのですが、そんな急坂な感じがよく出ている描き方です。

「雨趣」。雨の降る集落を俯瞰で。春の雨の暖かさを感じます。瓦の色も、雨に濡れるとこんな感じの色になりますね。

「うさぎ」。上目遣いのうさぎさん。背中の丸さがラブリーなのですが、隣に展示してあった下絵を見ると、そこまで丸くないし、足の形もえがかれてるし、なので、意図的に部分を省略して丸さを強調してたんですね。部分の省略にこそ、かわいいは隠れているのです。

「鳴門」。これも「醍醐」と並んで山種美術館奥村土牛作品では有名な作品。渦潮が本当に渦を巻いていて、渦の真ん中がちゃんと窪んで見えるのです。が、実は渦の真ん中は胡粉が盛り上がっていて、窪んでるわけではない。ちょっとしただまし絵のような一枚です。

「城」姫路城の一部分を切り取って描いたもの。壁の漆喰に煤けたようなところが見えますが、この前の修理で真っ白白い白いになった姫路城、今はこんな汚れが無いのだろうな、などと思ったり。

那智」。那智の滝を描いたもの。よくある滝全体を描くのではなくて、流れ出す上の方だけを描いているのですが、そのことによって滝の水量を感じる絵になっているように思えました。

「閑日」うにゃー、ねこさん、かわいー、けがふさふさ、もふもふしたい〜(おちつけ)。

「吉野」これも山種美術館の所蔵品の中で有名なもの。吉野の桜を高い位置から俯瞰で描きます。これも「醍醐」同様、淡いピンクや緑にいろいろ色があって、単純なように見えて奥の深い作品です。

「山なみ」。98歳で描いた富士山の絵ですが、100歳近いなんて感じられないしっかりした線で、また富士山の表面にある窪みなどもちゃんと描かれていて。100まで生きなくても良いですが、長生きするのならこういう感じで元気ではっきりした状態で何時迄もいたいものです。


という感じで奥村土牛さんの作品をまとまった数、数年ぶりに見たわけですが、一部分を切り取ったり部分を省略したりという何かを省略することで見せる部分と、単純に見せかけてとても丁寧に描く部分。この両者が上手く組み合わさって良い絵になっているのを感じました。それにしても山種美術館、いつもながら良い作品をお持ちですわ。