山種美術館での所蔵品展「日本画の挑戦者たち」を見てきました。
この展覧会、タイトルだけ見ると日本画全体を網羅する感じに思えますが、実際の展示は日本美術院に関係する画家の作品を追うものになっています(まぁ、副題に「日本美術院創立120年記念」とありますので……)。
山種美術館では日本美術院をテーマにした展覧会を3年おきくらいにやっているようで、この駄文ブログを検索すると、
- 日本美術院の画家たち―横山大観から平山郁夫まで―(2010/11/13-12/26)
- 再興院展100年記念 速水御舟 ―日本美術院の精鋭たち―(山種美術館, 2013/08/10~2013/10/14)
- 生誕130年記念 前田青邨と日本美術院 ―大観・古径・御舟―(2015/06/27~2015/08/23)
とやってます*1。なるほど、山種美術館の展示は3年周期くらいなのか(と、余計なことに気づいてしまった)。
2015年の時の感想はこんな感じ。
lunacat.yugiri.org
うん、我ながら淡白な感想ですな……
気を取り直して、以下、今回の展覧会の感想を書いてみますか。
- 狩野芳崖「芙蓉白鷺」(01)
- 第一印象は中世の水墨画のように見えるこの作品。鷺さんの目つきや羽が写実的だったり、葉っぱが斑入りだったり、リアルさも併せ持つ絵になってます。写実は西洋というよりも、円山四条派の影響でしょうかね。
- 菱田春草「雨後」(07)
- 朦朧体らしく輪郭線のない作品です。春草の朦朧体は湿気が見る感じがして体感のそれよりも好きですね。これも、朝霧が立ち込める山の中といった風情が見えます。
- 木村武山「秋色」(12)
- 金泥や銀泥を使用しているのもあってか、琳派的な秋草の表現にも見えます。リンパスキー(?)としては見逃せない作品。
- 今村紫紅「早春」(14)
- 描かれているのは棚田であって、象の歯の化石ではありません……(ちょっと平面的すぎますよね)
- 速水御舟「名樹散椿」(25)
- 今回の撮影可能作品は、これでした。
今まで金屏風なのにキラキラしたところがないなど、艶消しの凄さに目が行っていたのですが、今回の注目点は椿の花、この屏風の中では例外的に華やかじゃないですか。ってことに今回初めて気が付きました。
- 速水御舟「昆虫二題」(24)
- 虫が装飾になってしまう不思議。実際彼らは綺麗なんだが、ここまで綺麗さを引き出す絵も中々無いです。「炎舞」はこの作品の前の年ですが、炎の持つ宗教的な側面を取り除いて、純粋に虫だけ描いたようにも思えます。
(写真は2017年の展覧会で撮影したもの)
- 奥村土牛「城」(36)
- 何度見てもこの作品は、四角を書きたくて四角形を積み上げていたら、まるで城を描いたみたいになっちゃった、って感じに見えるんですよね。
- 小茂田青樹「春庭」(19)
- 上に桜のピンク、右に若葉の黄緑、左は椿の濃いピンクと濃い緑。色のコントラストが面白いです。
- 岩橋英遠「暎」(39)
- 夕暮れ空のもと、広がる田んぼ。こういった光景を里山の原風景と思うようになったのは、いつからなんでしょうね。
- 平山郁夫「バビロン王城」(45)
- えーと平山さん。いくら何でも兵隊さんの格好が丸腰過ぎませんか?せめて胸当てくらいつけてあげたほうが……。
一通り感想を書きましたが、やっぱり淡白な感想で……。
あと、このメンバーだと菱田春草と速水御舟が頭ひとつ抜けて見えます。というか、同じ朦朧体でも春草と大観にはなぜこれほどの差があるのか……。

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*1:といった記録が出てくるのも、見たい展覧会を駄文に書いていたからで……。復活させないと駄目ですね。