三菱一号館美術館で開かれているフィリップス・コレクション展、どう見ても混雑するだろうと思って後回しにしていたら、2月11日が最終日じゃないですか。ということで、あわてて3連休の初日に行ってきました。
今回の展示は、アメリカの富豪の作ったコレクションを紹介するものです。アメリカの富豪は20世紀になってからコレクションを作ってることもあって、この展示も印象派以降の作品が中心となってます。
なお、展示はコレクションの収集順に並んでいるのですが、図録やリストは作品の作成された順というトラップがありましたが、それは置いておいて*1。
とりあえず、展示順に感想を……。
- クロード・モネ「ヴェトゥイユへの道」(16)
- モネさんらしい、実際に見える色彩を意識した作品で、夕方の赤みがかった色が表現されています。夕暮れの長い影の道。カラスが鳴いていれば完璧です(?)。
- アルフレッド・シスレー「ルーヴシエンヌの雪」(15)
- これは雪が降った後の晴れ間でしょうか、そんな感じの色に見えます。小さく描かれているので判りにくいですが、女の人の服装は何時ものワンピースに思えます。
- ピエール・ボナール「犬を抱く女」(36)
- 猫~、じゃなくて犬だと?ボナールなのに?(いや、タイトルを見るまでは、ぱっと見ネコに見えていたのよ)
- ベルト・モリゾ「二人の少女」(27)
- モリゾさん。淡い色遣いもあって、描かれている女性が優しげで良いです。
- ピエール・ボナール「リヴィエラ」(38)
- 点描風ボナール。高いところからの俯瞰で、明るい緑が好みの色です。遠くに見える茜色の空も印象的。
- フィンセント・ファン・ゴッホ「アルルの公園の入り口」(18)
- ゴッホきました。ゴッホの線描風の厚塗りは、もしかして針葉樹を描くためのものだったりして、と思うほど公園入口の杉が強いです。
- オスカー・ココシュカ「ロッテ・フランツォスの肖像」(51)
- 薄ーい塗り方が岡鹿之助のような。可愛い女性なのに不穏な雰囲気があって、メランコリアを感じます。
- ラウル・デュフィ「画家のアトリエ」(40)
- この壁の明るさはデュフィですね。壁の棚にある帆船は模型なんですかね?
- フィンセント・ファン・ゴッホ「道路工夫」(20)
- うねる街路樹は、さすがゴッホという感じ。先ほど見た作品よりも後の作品ですね。
- モーリス・ユトリロ「テルトル広場」(35)
- ユトリロといえば直線と思っているのですが、縦のラインは直線ですが、道路は珍しく曲がってます。とはいえ、一目でユトリロとわかる作品なんですが。
- ハインリヒ・カンペンドンク「村の大通り」(54)
- ドイツの関電スキー、もとい、カンディンスキーと同時代という感じの絵ですね。絵画なのに平面的貼り絵なのが、なんともこの頃です。それはともかく、牛さんが可愛いのです。
- クロード・モネ「ヴァル=サン=ニコラ、ディエップ近傍(朝)」(17)
- 再びモネが登場。コレクションに加わった順の展示なので、こういうことが起きます。これは朝焼けの海岸でしょうか。霧も出てるが晴れ間もある感じが見えます。
- エドガー・ドガ「リハーサル室での踊りの稽古」(32)
- ドガといえばバレエ。バレエの練習を物陰から描いたのでしょう。だから誰もこっちを見てないし、距離があるのが、心の距離も表しているようで。
コレクションを作る際に厳選していることもあって、それぞれの作家の特徴をよく表している作品がコレクションされていると感じました。
個人的には、ゴッホの作品が良かったです。なんかね、久しぶりにゴッホのぐるぐるした絵が良く見えましたよ。
*1:いや、メモを取るときに盛大にこのトラップに引っかかったのだけど